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2002年9月 No.05号


“ヨーイ・ピー、”何とも頼りないスピーカーからの音で天高く舞い上がるがごとくの気持ちでスタート台を蹴るがそれとは裏腹に毎回顔とお腹が同時に水面へ着水する、今回もそのような状態で競技が始まった。競技で一番の心配事はゴーグルに水が入ってしまう事である、私は小学校の時から学校にプールがあった関係で夏になると体育の時間には水泳をやらされた、その時以来水泳を続けているがゴーグルを付けて泳ぎ始めたのは社会人になって暫くたってからだったと思う、何年か前マスターズ大会で飛び込んだ時にゴーグルがズレて水が入り前が見えなくなりえらく苦労をした事があった、その時は50mであったのでそのまま何とかたどり着いたが200mにもなると大変である。毎回大会で飛び込むとゴーグルに水が入ったか確認をしOKであれば第一関門はパスとし、すぐスタート前に行っていたイメージトレーニングを思い出し泳ぎ始める。

今回は短水路で200m平泳ぎであるが、さすが国際水泳場だけあって水温の管理がよく出来ており飛び込んだ瞬間ひやりとしてすごく気持ちが良かった、ゴーグルのズレはなく今回は行けそうであると思い、以前から練習をしていた泳ぎ方として大きくゆっくりしかも力強く泳ぎ始めた、3、4回キックをした時に突然耳からバキ−と言う大きな音が聞こえた。

実は6年前にも同じ事があった、今回で2回目である、非常に体調は良くオーバーペース気味で練習を行っていた時であるが、突然耳からバキーと言う音が聞こえその後は左内腿が痛み蹴る事が出来なくなってしまった、医者に行ったら左内腿の肉離れであると言われ約一ヶ月間泳ぎが出来なかった時があった。今回はまさにこの大事な時にそれが起きてしまったのである、まだ15m位しか泳いでいないのに何たる事だと思い、左足を使わず何とか25mまで行きターンをしてみた、しかし最初の蹴りで200mは無理と思い途中で棄権をした、なんとも情けない事だと思いながら隣を泳いでいる人が通過してからコースを横切りプールの端から退水をした、何人かの人が寄って来て事情を聞き始めたが返事をするのが億劫であった、悔しいのと説明をしても元には戻らない、自分では肉離れであると分かっていたからである。

今回の事件は2002年4月27、28日に行われた千葉県国際総合水泳場で50mプールを横に泳ぎ短水路として使用した短水路大会の初日に起きた事件である。

その後反省会を何度も行い何でこんな事が起きてしまったのか?結論から言うとウオーミングアップを怠った為である、最近どの大会でも年のせいか(言い訳である)あまりアップを行うと本番に疲れて十分力が出せない、そこで一発勝負が最近のパターンであった、結果としてはあまりタイムも変わらずむしろ良い結果となっていた、しかしあまりにも環境条件が良すぎると思わぬところで力みアクシデントにあう。やはり競技前にはストレッチ、軽いウオーミングアップ、ごく当たり前の事が再確認された。

アスリートを目指している人は一般的に実年齢より若く見える、特に精神年齢が若く(これは非常に良いことなのですが)実体を忘れ無理をする事が多く事故を起こしやすい、これを防ぐにはそれなりの訓練、日頃の自己管理、等が考えられる、これは自分では分からない事が往々にしてある。

皆さんはどのような事を考えながら試合に臨んでいるのでしょうか?一度お話を聞かせてください。

                 

四ッ谷遊泳塾編集部A

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